2024年 Vol.4
◆NPO法人が東電PGのゲームアプリに対して特許権侵害を通知
東京電力パワーグリッド(PG)などが前橋市で始めた社会貢献イベントのゲームアプリについて、別のゲームを運営するNPO法人が「当社のアプリと酷似している。知的財産権侵害ではないか」と指摘していることがわかった。東電PGは「権利を侵害するものではないと認識している」としているが、当初予定していた市の事業としての実施は取りやめた。
このゲームは、「ぼくとわたしの電柱合戦」という名称のゲームで、参加者は専用のスマートフォンアプリを使い、電柱を撮影した数などを競いながら防災意識を高めつつ、ギフト券や暗号資産を獲得でき、一方、東電PGは撮影データを電力設備の維持管理に生かすことができるものとなっている。同社は「電力業界初の社会貢献ゲーム」とPRしていた。
◆ ユニクロ+くら寿司で「ユニくら」を商標出願
ユニクロなどを展開するファーストリテイリングとくら寿司が、「ユニくら」の商標を出願した。公開公報によると、「ユニくら」の出願区分は果実および野菜を除く植物性食品などを対象とした30類と、飲食物を目的とする人または事業所が提供するサービスなどを含む43類となっている。
◆ ラコステがワニマーク使用の中国企業に対し商標権侵害訴訟で勝訴
「ラコステ(LACOSTE)」が、中国における商標権を巡る裁判で中国企業の「カルテロ(Cartelo)」に勝訴したとメディアなどが報じた。
カルテロは、ブランドロゴとして、ラコステと同じくワニのマークを使用しているが、その主な違いはワニが左を向いているラコステに対し、カルテロのロゴマークは右を向いているところにある。
裁判所は、カルテロによる商標権侵害を認め、賠償金として205万ドル(約3億円)の支払いと、ロゴを使用した商品の販売停止を命じたという。
2024年 Vol.3
◆アマゾンが700万点以上の模倣品を処分
米アマゾンは、2023年に全世界で700万点以上の模倣品を処分したことを発表した。アマゾンのウェブサイト上での流通していたものだけでなく、製造工場や保管倉庫も突き止めて押収、処分したものもあるという。
アマゾンでは、模倣品対策のために12億ドル(約1800億円)以上を投資し、専門調査員など約1万5000人が従事し、また、日本でも2022年6月に財務省関税局と覚書を締結して水際対策も強化した結果として、2023年日米の合計で10万点以上の模倣品の流通を水際で阻止したという。
アマゾンは、今後についても、「大規模言語モデルや生成人工知能(AI)などに積極的に投資し、さらに対策を進める」としている。
◆ アパホテルがホテルのチェックアウトに関する特許権を取得
アパホテルは、利用者の時間を大切にするためのアパトリプルワンシステム(「1ステップ予約」、「1秒チェックイン」、「1秒チェックアウト」)のうち、「1秒チェックアウト」を支える「エクスプレスチェックアウトポスト」について、特許権(特許第7430491号)を取得したことを発表した。
「エクスプレスチェックアウトポスト」は、ルームカードキーを投函するとリアルタイムでチェックアウト処理を行うサービスで、チェックアウトをよりスムーズにするもの。
◆ PCT出願件数 中国が5年連続1位
世界知的所有権機関(WIPO)が発表した2023年の世界知的財産権出願統計データによると、2023年の国際特許出願(PCT出願)の総件数は、前年比1.8%減の27万2600件となっており、国別では、1位から順に、中国、米国、日本、韓国、ドイツとなっている。
また、出願人別では、中国のファーウェイが6494件で世界最多で、韓国のサムスン電子、米国のクアルコム、日本の三菱電機、中国の京東科技がこれに続いている。
2024年 Vol.2
◆KOKUSAI ELECTRICが韓国の半導体製造装置メーカーを特許権侵害で提訴
半導体製造装置メーカーのKOKUSAI ELECTRICは、韓国の半導体製造装置メーカーのユージンテックが半導体ウエハーの成膜装置に関する自社の特許権を侵害したとして韓国ソウル中央地方法院に提訴した。
損害賠償の請求額は計4億ウオン(約4400万円)。KOKUSAI ELECTRICは韓国に子会社があり、その子会社の工場で装置を製造している。また、同社は、「知的財産権が侵害されたと判断した場合は厳正に対処する」とコメントしている。
◆ 日本カーバイト工業が特許権侵害訴訟の損害賠償額等約15億円を計上へ
日本カーバイド工業は、自社の「再帰反射シート」に関する特許権を侵害されたとして、スリーエムジャパングループ2社に起こした訴訟に関連し、特別利益を計上すると発表した。
訴訟では、2023年11月の控訴審判決で、知財高裁が同グループ2社の特許権侵害を認め、約15億5344万円の損害賠償を命じた一審判決を維持していた。日本カーバイドは上告しているが、減額はないと判断し特別利益の計上を決めたもので、24年3月期第4四半期決算に反映されるという。
◆ モンクレールの偽物を販売の男が商標権侵害で逮捕
高級ブランド「モンクレール」の偽物のジャンパーを5万8000円で販売したとして、商標法違反の疑いで大阪の会社員が愛知県警に逮捕された。
偽ブランド品の別の事件の捜査で、愛知県内の被害者から相談を受け、警察が仕入れ先を調べたところ、今回の事件が明らかになったという。口座の記録などから偽ブランド品の販売で少なくとも5000万円の売り上げがあったものとみられている。
2024年 Vol.1
◆シャープがモトローラと無線通信技術の特許クロスライセンス契約を締結
シャープは、モトローラとの無線通信技術の特許クロスライセンス契約を締結したことを発表した。
同社は、20年以上W−CDMA、LTE、LTE−Advanced、5Gなどの無線通信技術やネットワークに関する研究開発、特許出願を積極的に進めてきた結果、これらの技術に関する6000件以上の特許権を保有。これまで、サムスン電子、OPPO、Vivo、Huaweiを含む、日米欧中韓の多数の通信機器や自動車業界の企業に無線通信技術の規格必須特許のライセンス供与を行っており、引き続き公正、合理的かつ非差別な条件で規格必須特許のライセンス供与を行っていくという。
◆ リーバイスが赤タブ使用のブランドを提訴
リーバイスが、イタリアの高級ファッションブランドのブルネロ クチネリを商標権侵害で提訴したことが明らかになった。
リーバイスは、同社の展開するジーンズのバックポケットにブランドロゴを配した赤いタブを使用しており、1938年頃から商標権を保有している。一方、ブルネロ クチネリは、今回、自社のデニム製品にブランド名を記した赤いタブを採用した。これに対して、リーバイスは、この赤いタブが同社の“赤タブ”の形状と酷似し商標権侵害にあたると判断したことから、ブルネロ クチネリに対して何度もタブの使用停止を求めたものの、彼らはこの提案を拒否し続けてきたため、対象のタブを用いた製品の生産を禁止する仮制止命令と終局的差止命令を求めて、米サンフランシスコ連邦裁判所に提訴したという。
訴訟の報道に対し、ブルネロ クチネリは、「私たちは他ブランドのアイデアを利用したり、侵害したりすることを意図しておらず、市場にある各ブランドの独自性を尊重しています。私たちが使用しているタブはデザインも目的も異なっており、ロゴではなく装飾であることは明らかです。世界中のどの顧客にとっても混同のリスクはありません」とのコメントしている。
◆ 中国 有効特許権の件数が世界で初めて400万件を突破
中国国家知的財産権局は、「2023年末現在、中国の特許権の有効件数は499万1000件で、うち、中国国内(香港・マカオ・台湾地区を除く)の特許権の有効件数は401万5000件となり、世界で初めて国内の特許権の有効件数が400万件を突破した国になった。」と発表した。