私ども、柳野国際特許事務所は、顧客満足度の向上を最高の目的とした知的財産全般にわたるプロフェッショナル集団として長年にわたり顧客の信頼を培っております。
今やマーケットはいい意味でも悪い意味でも完全にボーダレスになっており、情報や商品が1国内に留まることは少なくなってきています。そしてこの状況は知的財産権(特許・実用新案・意匠・商標など)の保護にも、大きな影響を与えてきています。
知的財産権には「各国独立の原則」というものがあります。これは、世界の約170カ国が加盟している「パリ条約」の重要な原則の1つで、文字通り、知的財産権は各国ごとに成立・消滅して、相互に影響しないという原則です。したがって知的財産権を取得するには、それが必要な国ごとにそれぞれ出願し、権利取得のための手続を取らなければなりません。
世界のマーケットが統合され均一化・単一化が進む中にあって知的財産権は依然として各国毎の個別の対応・管理が求められるのは、時代の流れに反するかのような印象を受けます。またマスコミでは「世界特許」という言葉が一人歩きしており、まるで世界中で効力が認められる特許があるかのような話しを見聞きすることも多々あります。
しかし、残念ながら今のところは、1つの出願で世界中に効力が認められる「世界特許」や「世界商標」というものはありませんし、各国の産業政策及び技術レベルの相違を考えますと、今後もそのようなものが出来る可能性は低いと思われます。
したがって海外で知的財産権の保護を求める場合は、今後も各国毎の個別の戦略、対応が不可欠です。自社の事業展開の未来図をしっかり描き、どのタイミングで、どの国で、どのような権利を、どのような形で取得すべき(あるいはライセンス取得に留まる)か十分に検討して、有限な経営資源の適切な配分に配慮することが肝要です。