Q1.実用新案における訂正の許容範囲の拡大について教えてください
A.無審査登録主義(実用新案法第14条第2項)の下、第三者の監視負担を軽減するために、 従来は請求項を削除する訂正のみが認められていました(旧実用新案法第14条の2第1項)。 しかし、このような削除訂正のみでは、無効審判による攻撃に対して適切な防御をすることができないため、 一定の範囲で請求の範囲の減縮等の訂正を認めることとしたものです(実用新案法第14条の2第1項〜第6項等)。
具体的には、以下のとおりです。なお、平成17年4月1日以降の出願から適用されます。
(1)訂正の目的(同2項)
(@)請求の範囲の減縮(1号)
(A)誤記の訂正(2号)
(B)明りょうでない記載の釈明(3号)を目的とする訂正
に限られます。
(2)訂正の範囲(同3項・4項、同法第14条の3)
願書に添付した明細書等に記載した事項(誤記の訂正を目的とする場合は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項)の範囲内でのみ訂正可能です(同3 項)。また、実質上請求の範囲を拡張・変更する訂正をすることはできません(同4項)。さらに、基礎的要件を満たす必要があります(同法第14条の3)。
(3)回数の制限(同法第14条の2第1項柱書)
1回のみに制限されます。 (4)時期の制限(同1項・5項・6項) 以下の場合は訂正することができません。
(@)最初の実用新案技術評価書の謄本送達日から原則として2月を経過したとき(同第1項第1号、同第5項・第6項)
(A)無効審判における最初の答弁書提出期間を経過したとき(同第1項第2号)。
(4)時期の制限(同1項・5項・6項)
以下の場合は訂正することができません。
(@)最初の実用新案技術評価書の謄本送達日から原則として2月を経過したとき(同第1項第1号、同第5項・第6項)
(A)無効審判における最初の答弁書提出期間を経過したとき(同第1項第2号)。
Q2.実用新案登録に基づく特許出願制度について教えてください
A.実用新案登録後に、当該実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の内容(特許法第46条の2第2項)で特許出願とすることができる制度です。
審査を経た安定した権利を取得したい場合又はより長期の存続期間を確保したい場合等に利用することができます。
但し、当該実用新案登録出願出願の日から3年を経過したとき(同第1号)、自己が実用新案技術評価請求を行ったとき(同第2号)、 他人が実用新案技術評価請求を行った旨の最初の通知があった日から原則として30日を経過したとき(同第3号、同条第3項)、 基礎とした自己の実用新案登録についての無効審判における最初の答弁書提出期間を経過したとき(同第4号)は、当該特許出願をすることができないことに注意が必要です。
また、当該特許出願に際しては基礎とした自己の実用新案登録に係る実用新案権を放棄する必要があること(同法第46条の2第1項柱書)、 当該特許出願について出願審査請求(同法第48条の3)をしないと、権利化できないこと(同条第4項)、当該特許出願は国内優先権主張出願の基礎とすることができないこと(同法第41条第1項第2号)等にも注意が必要です。なお、平成17年4月1日以降の実用新案登録出願から適用されます。