柳野国際特許事務所

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意匠 Q&A

意匠法特有の制度について

Q1.部分意匠制度とは?

A.物品の一部分の形態(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)について、保護を受けることができる制度をいいます。
 部分意匠を出願する際には、意匠のうち特徴部分のみを実線で描き、且つ他の部分を破線で表すことによって、特徴部分を明確化します。近年の意匠創作の実態に鑑み、独創的で特徴ある部分の模倣を防止するためです。


Q2.関連意匠制度とは?

A.関連意匠制度とは、本意匠と類似する意匠(関連意匠)を、一定期間内に出願した場合に限り登録を認める制度です。
 本意匠の意匠権のみならず、関連意匠の意匠権も独自の効力を有します。デザイン開発において、一つのデザインコンセプトから多くのバリエーションの意匠が同時期に創作される場合がよくあり、関連意匠制度はこうした複数のバリエーションの意匠を包括的に保護するための制度です。


Q3.組物の意匠制度とは?

A.組物の意匠とは、複数の物品を全体として一意匠と認め、意匠登録を受けることができる意匠です。
 「システムデザイン」、「セットものデザイン」等、複数の物品を組み合わせ、全体の統一感を考慮したデザインの創作に対して適切な保護を図るために認められるものです。組物の意匠は、意匠法施行規則8条別表2で挙げられている56品目の中から選択する必要があります。


Q4.秘密の意匠制度とは?

A.秘密意匠制度とは、出願人の請求により、登録後最長3年を限度として意匠の内容を意匠公報に掲載せず、秘密を保持することができる制度をいいます。
 意匠は公開されると直ちに模倣、盗用の危険にさらされるので、製品販売戦略上、発売日まで秘密にしておくことが要請されるデザインにとって有効な制度です。例えば、自動車のデザインの場合によく用いられています。


Q5.動的意匠制度とは?

A.動的意匠とは、物品の機能に基づいて形状等が変化する意匠をいいます。
 フタを開けるとキャラクターが飛び出すびっくり箱などの変化を予測できない意匠を、一つの出願で権利取得を行うことができます。


Q6.部分意匠・部品の意匠・全体意匠制度をどう活用するか

A.新しい商品を開発した場合、模倣商品を防止するために、全体意匠の出願を行い、権利化を図る必要があります。
 また、全体意匠に中に特徴部分があれば、部品の意匠として、或いは、特徴部分を実線とし、他の部分を破線とした部分意匠として出願を行い、権利化を図る必要があります。
 一般的には、全体意匠の方が、部分意匠、部品の意匠に比べて、権利になりやすいのですが、権利範囲は限定されます。それに対して、部分意匠、部品の意匠は、権利になりにくいのですが、権利化されれば、権利範囲は広いものとなります。これらの意匠を、うまく利用して、権利化を図る必要があります。出願は小さいものから順番に(例えば部品の部分意匠、部品の全体意匠、完成品の部分意匠、完成品の全体意匠の順番)行うか、あるいは、全てを同日に行う必要があります(注1)。

 ただし、部品の意匠権のみを我が国において取得している場合において、この部品を含む完成品の輸入・販売がされた場合、利用関係が認められない場合には前記部品の意匠権に基づいて前記完成品の輸入・販売行為に対して権利行使できないという不都合があります。従って、部品の意匠だけでなく、製品全体の意匠についても出願しておくことが重要です。


(注1)
平成18年法改正により、意匠登録要件の見直し(部分意匠等の保護の見直し)がされ、同一出願人であれば、先願全体意匠の公報発行日の前日までに部品・部分意匠の出願が可能となります(改正後の意匠法第3条の2)。なお、先願全体意匠の出願日が平成19年3月31日以前であり、その公報発行日が同年4月1日以降である場合については、後願部品・部分意匠の出願が同年4月1日以降であって先願全体意匠の公報発行日の前日までの出願であれば、改正法が適用され、先願全体意匠により拒絶されません。

特許庁のページ「部分意匠に関するQ&A


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