Q1.出願後、商標の変更や商品(役務)の変更はできますか?
A.商標の変更はできません。商品や役務の変更は、適切な表現に補正をしたり、減縮することは認められますが、拡張することは要旨を変更することになるとして認められません。
Q2.既に使用しているのですが、商標出願して登録できるのですか?
A.何ら問題なく正当に登録できます。特許や意匠のように新規性を問われることがありません。使用後、例えば何十年と経過していても登録することができます。使用後、例えば何十年と経過していても登録することが出来ます。
Q3.既に使用しているので、商標出願しなくても大丈夫ですか?
A.大丈夫ではありません。よくある質問なのですが、結論から言うと商標は登録主義、即ち 登録者優先ですので、決して先使用者が優位な立場になることはないと思って下さい。きっちりと商標登録しておいて下さい。
Q4.第9類で商標「ABC」を登録したのに、同じ第9類で商標「ABC」が登録されています。これはおかしいのではないですか?
A.先ず、両商標の商品を比較して下さい。きっと商品が相違しており共通商品がないと思います。同じ第9類であっても、商品が相違している場合は問題なく権利併存されますので、ご確認をお願いします。万一共通商品があるのでしたら、本当に見逃して過誤登録となっているかもしれませんので、異議申立や無効審判請求の検討が必要です。
Q5.「abc」という商標を登録した場合、登録商標と全く同一の商標でないと、登録商標を使用している商品として認められないのでしょうか?(大文字・小文字の区別、フォントの違いなど)
A.「abc」の態様で商標権を取得された場合、その登録商標からは、「エービーシー」の称呼のみが生ずると考えられることより、 他人が、「ABC」の文字からなる商標を使用する行為に対しては、当該商標権の禁止権の効力が及ぶと解されます。また、他人が、貴社出願の後に、例えば、「ABC」の文字で商標登録出願をしても、その出願は特許庁において拒絶されると考えられます。
なお、大文字から小文字への変更使用、フォントの変更使用についても、「エービーシー」の称呼のみが生ずることに変りはなく、社会通念上、登録商標の使用と認められる範囲の変更であると考えられます。このように、商標権者は、自己の登録商標の類似範囲に属するような商標については、第三者の権利を侵害することがなければ、事実上、使用することができると解されます。
Q6.出願をするときにアルファベットと日本語を併記した方がいいのですか?
A.いいえ、基本は別々に出願して登録すべきです。もちろん併記して登録することも可能です。が、実際の使用で併記しないのであれば、登録商標の使用とならない場合がありますので、ご注意下さい。
Q7.片仮名「ドリーム」で商標登録されているのですが、平仮名「どりーむ」でも使用しても良いですか?
A.原則使用できると思われます。 しかしレアケースですが、本来登録できない「どりーむ」が間違って登録されていたり、或いは「どりむ」という商標が登録されていれば、制約を受けることがありますので、必ず調査をされることをお勧めいたします。よって防御のため、平仮名でも商標登録されることをお勧め致します。
Q8.商標を出願する時に色はどうすればいいのですか?
A.原則的には実際に使用されている態様で権利を取得するのが望ましいのですが、多少カラーを変えて使用するケースがあったり、また将来的に変える可能性があるのでしたら、白黒で出願しておいて良いと思います。絶対に色を変えない、またその色にこだわりがある場合は、その色で出願すれば良いと思います。
Q9.第30類でショートケーキの名前について商標出願をしたいのに、どうしてサービスの第43類の取得が必要なのですか?
A.第30類は商品、即ちお持ち帰り(テイクアウト)に対応するものですが、一方、第43類はサービス、即ち店内飲食(イートイン)に対応するもので、将来或いは防衛上、この2区分は必須といえます。いざ、店内飲食(イートイン)をすることになっても、既に他人が所有していれば、使用することができず、断念せざるを得ません。
Q10.商標登録出願後、特許庁から拒絶理由通知書というものが送付されてきました。もうこれで権利化できないのですね?
A.そんなことはありません。内容を確認して下さい。商標も商品(役務)も全く同一であれば、いくら審査官に反論をしても無理でしょう。しかし、商標がどう考えても類似していないと思われたり、また商品(役務)が相違していれば、意見書や補正書によって権利化へ導くことが可能です。簡単に諦めないで下さい。どうしてもダメな場合でも、権利者から使用許諾の契約を交わすこともできます。
Q11.設定登録前の金銭的請求権とは?
A.金銭的請求権とは、出願から設定登録前に商標を無断で使用する者に対して金銭の支払いを請求できる権利です。
金銭的請求権の発生の要件は、
(1)商標登録出願されていること
(2)書面にて警告済であること
(3)警告後にその商標を使用したこと
(4)使用によって業務上の損失があったこと
です。 金銭的請求権の権利行使は登録後となります。この金銭的請求権は出願が取り下げ、放棄、却下および拒絶が確定したときは始めからなかったものとされます。また、設定の登録から3年間行使しないときは消滅します(設定登録後に実施事実等を知ったときは、知った時から3年間行使したいときは消滅します)。
なお、商標法の金銭的請求権は、特許法で従来より認められている補償金請求権(特許法65条)と似ている部分もありますが、以下の相違点があります。
すなわち
(1)特許法の補 償金請求権では、請求できるのは実施料相当額であるのに対し、商標法の金銭的請求権で請求できるのは、当該商標の使用により生じた業務上の損失に相当する額である点
(2)特許法の補償金請求権では、出願公開(特許法64条)が時期的な要件とされているのに対し、商標法の金銭的請求権は、出願公開(商標法12条の2)前でも、当該商標出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、請求権が発生する場合がある点
(3)特許法の補償金請求権では、出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知って特許権の設定登録前に業としてその発明を実施した者に対しては、警告をしなくても請求権が発生する場合がある(特許法65条1項後段)のに対し、商標法の金銭的請求権は、たとえ相手方が悪意で使用していても警告が必要である点です。