A.大きく4つの種類があり、それぞれに特徴があります。
米国の継続出願制度はかなり錯綜しており厳密(=法令通り)に説明すると却って理解が難しくなりますので、一般的な説明をします。
大まかには
(1)従来の継続出願
(2)継続審査請求
(3)一部継続出願
(4)分割出願
の4つに分類できます。
(4)は改めてご説明するまでもないと思います。
(1)は順次(2)に移行してきておりやがては全ての(1)が(2)に変わります。両者の効果は同じですが、(1)を手続的により簡略化したのが(2)だと理解して頂ければ結構です。その割には費用的にはあまり軽減されておりません。(3)は新規事項を追加した継続出願です。新規事項については勿論、当該追加時点(=一部継続出願日)で新規性が判断されます。つまり原出願日の利益は受けられません。一括審査と、1件の特許にまとめられるというメリットがあります。
A.出願人に責任がなく審査が遅延した場合の特許期間の延長システムです。
1999年(平成11年)改正で新設された制度で、出願から登録までの間に特許庁サイドの原因により遅延した手続がある場合に、当該遅延期間(日数)を最終特許期間に加算する制度です。
A.二重特許の一方の権利期間を放棄することで拒絶理由を解消する制度です。
自明性タイプの二重特許を理由とする拒絶理由を回避するための手続で、先願の特許権存続期間の満了日と一致させるように後願の特許権存続期間の一部を放棄することにより拒絶理由が解消されます。
A.発明は人がするものだという考えからです。
先発明主義の観点から「真実にしてかつ最先の発明者自身(=企業ではなく個人)」しか出願人になれないと考えているからです。
A.発明後の手続の巧拙による不公平を生じさせないためです。
同じ発明をしても個人と企業とでは出願のための資金的余裕・手続的迅速性において格段の差があり、また、国土の広い米国では当該発明者が特許庁の近くにいるか遠くにいるかでも出願に大きな時間的差異が生じます。
そこで、そのような不公正をなくすために、出願時の先後ではなく発明自体の先後で当該発明の権利者を決しようとするのが米国特許法の精神です。但し、先発明主義も絶対的な基準ではなく、幾つかの条件を満たした場合に初めて認められるものです。
A.多数項従属クレームを、更に多数項従属クレームの主クレームの1つにすることです。
米国等で採用されている制度で、「ある従属クレーム(Q3-1参照、「請求項」のこと)の複数の主クレームの少なくとも一つが、更に他の複数の主クレームに従属している場合の、最初の従属クレーム」のことです。
例えば、
クレーム1
クレーム2
クレーム3⇒「クレーム1又は2に記載の〜」
クレーム4⇒「クレーム1〜3のいずれか1項に記載の〜」⇒これが不適切な多数項従属になります。
A.2007年4月の「KSR事件」からレベルが上がりました。
(2007年10月に米国特許庁は非自明性に関する新ガイドラインを公表)
従来、米国の非自明性は、グラハム判決が示した判断手順を基礎として、「教示・示唆または動機付け」(TSM)テストが用いられていました。
TSMテストでは、引用文献のなかに教示・示唆・動機付けがなければ非自明性を否定できないとされ、日本の進歩性の基準に比べてかなり緩い判断がなされていました。
KSR事件では、このTSMテストが硬直すぎ、グラハム判決の考え方に沿っていないとして、引用文献の中に教示等がなくても、当業者(分野外も含む)の一般常識から示唆されれば、自明性が認められるとしました。
よって、今後の出願人側の対応としては、引用文献中に教示・示唆・動機付けが「無い」との主張だけではなく、引用文献中に特定の構成の組み合わせ(審査官が主張する構成の組み合わせ論理)を阻害する事由の記載が「在る」こと、すなわち「阻害要因」を立証する必要があるといえます。
これにより、非自明性の対応は、日本の進歩性の対応と近いものとなっています。