ネーミングを採択するにあたっては、ネーミング候補を数多く挙げ、できれば優先順位を決めて調査をすることをお勧めします。
最終候補を1点に絞って調査したところ、結果が「×」となった場合、また最初から検討し直さなければならず、これが商品(役務)の発表間近であれば大変な事態を招いてしまいます。
ネーミングの採択作業は大変ですが、商品の特徴やイメージに沿っているか、競合他社のネーミング傾向はどうか、ターゲットとしている客層にマッチしているか、悪い意味がないか、読み辛くないか、他の語と誤解されないか、印象に残るか、文字の並びやデザイン性など、を総合的に判断することが望ましいでしょう。
また、調査の結果、登録可能性が大きいとしても出願した商標がすべて登録されるわけではありません。 よって、ネーミングを採択する際には、先ず「どうしても登録したい」のか?、「できれば登録したい」のか?、「登録できなくても最低限、使用できれば良い」のか?等、方針をある程度決めておく必要があります。
何れかの方針によって、ネーミングの採択が変わりますし、更に調査における判断も変わってきますので、非常に重要です。簡潔に言えば、「どうしても登録したい」のであれば、調査において相当危険率を高めて判断しておかなければなりませんので、少しでも引っ掛かりのあるネーミングの場合は採択し難くなります。 また「できれば登録したい」のであれば、その危険率を少し落としても良いことになります。
一方、「登録できなくても最低限使用できれば良い」のであれば、一般名称(普通名称)までもがネーミング候補に加わってきますので、かなりネーミング選択の幅が広がることになります。
以上のことを踏まえて、商品(役務)のネーミングを採択されることをお勧め致します。
それでは、無料調査について簡単に説明します。
現在工業所有権情報・研修館のサイトにて、誰でも使用できる工業所有権情報・研修館の特許情報プラットフォーム(無料データベース)があります。
商標出願される前には、この特許情報プラットフォーム(無料データベース)で調べることをお勧め致します。
ご自分で簡易調査ができるよう、以下に特許電子図書館の操作法をお教え致します。
商標調査の手順
工業所有権情報・研修館の特許情報プラットフォームのサイトを表示してください。
「新商品『洋服』に『浪漫』という商標を付けて販売したいが、同一又は類似の登録商標が存在するか、または、同一又は類似の出願商標が存在するかどうか」を調査します。
実際に調査してみましょう
(1)準備
1. 商標のカタカナの読みを決めます。「ロマン」
↓
2. 使用する商品に対する類似群コード(※)を調べます。 洋服 17A01
※ 類似群コードがわからないときは特許情報プラットフォームで検索できます。
「商標」のメニューの中から「9.商品・役務名検索」をクリックします。
↓
3.
i .商品・役務名の欄に「洋服」と入力します。
ii.[検索]をクリックします。
iii.ヒット件数が表示されます。
iv.[一覧表示]をクリックします。
↓
4. リストの右側に表示されている「類似群コード」欄で、洋服は「17A01」であることを確認します。
(2)調査
1.工業所有権情報・研修館の特許情報プラットフォームへアクセスします。
↓
2.「商標」のメニューの中から「4.称呼検索」をクリックします。
↓
3.
i.称呼の欄に、(1)−1で決定したカタカナの読みを全角で入力します。
「ロマン」
ii.類似群コードの欄に(1)−2で決定した類似群コードを半角で入力します。
「17A01」
iii.[検索]をクリックします。
iv.検索結果を確認 (ヒット件数○○件)します。
v.[一覧表示(類似種別順)]をクリックすると、一覧が表示されます。
↓
4.「ロマン」の称呼が生じる登録商標を確認します。
番号をクリックすると書誌が表示されます。
「登録○○○○○○○」をクリックします。
↓
5.選択された商標の表示画面に切り替わります。
↓
6.2件目以降登録番号をクリックして、書誌を確認します。
以上、いかがでしたでしょうか?
これが基本的な検索の仕方ですが、検索項目選択を色々選択することによって、あらゆる内容(出願人、期間、番号など)からも検索することが出来ますので、お確かめ下さい。
どれだけ利用しても24時間完全無料ですので、色々トライしてみて下さい。
特許情報プラットフォームによる簡易調査によって、かなりネーミング候補が絞り込まれるかと思います。
勿論、この無料調査のみで、商標登録出願することは可能ですが、重要な商標、或いはこれから使用される予定のものは、基本的に詳細調査をされることをお勧め致します。
詳細調査を行うことによって、簡易調査ではヒットしなかったものがヒットして、リスクを回避できた例がいくつもあります。 「精度が100%でなければ有料の詳細調査は必要ない」という考え方もありますが、少しでもリスクヘッジができるのであれば、企業姿勢としては、最善を尽くしておくべきでしょう。
何故、もう一歩、踏み込んだ調査をしていなかったのか?
事後になって後悔しても、後戻りできません。
今、出来る事で最善を尽くすことが、コンプライアンス経営において重要なことと思われます。
有料調査については、弊所までお問い合わせ下さい。