柳野国際特許事務所

海外出願

特許について
外国で商標権を取得するには、

 1. 個別出願
 2. 国際登録出願(マドリッドプロトコル出願・マドプロ出願)
 3. 欧州連合商標出願(EUTM)

の3つの出願ルートがあります。

  以下に、各出願ルートのメリットとデメリットを記載します。


1. 個別出願

 外国の特許庁に個別に直接出願する方法です。 尚、日本国内の出願日から6ヶ月以内に外国出願をすれば、パリ条約の優先権主張が可能です。パリ条約の優先権制度とは、自国の出願日から6ヶ月以内に外国へ出願をした場合に、その外国の出願を自国の出願日に出願したものとして取り扱う制度です。

関連URL(World Intellectual Property Organization>Assembly (Paris Union)より)
パリ条約加盟国一覧(*台湾は未加盟)

メリット

1. ビジネスを行う国や地域に限定して権利を取得できる。
2. 各国の現地代理人を通じて出願するので、最新情報が入手可能であり、迅速な対応が期待できる。

デメリット

1. 出願国が増えると、費用も増える。
2. 権利の維持・管理を各国毎で行わなければならない。

  主たる国の商標制度を比較しました。その他、詳細はお問い合わせ下さい。


  制度の原則 パリ条約 マドリッド
協定議定書
国際分類 多区分出願 存続期間と起算日 不使用取消
中国 審査主義
先願主義
× 登録日より10年 3年
韓国 審査主義
先願主義
登録日より10年 5年
台湾 審査主義
先願主義
× × 登録日より10年 3年
米国 審査主義
使用主義
登録日より10年 3年
豪州 審査主義
先願主義
出願日より10年 3年
フランス 無審査主義
先願主義
出願日より10年 5年

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2. 国際登録出願(マドリッド協定議定書に基づく出願・マドリッドプロトコル出願・マドプロ出願)

本国特許庁における「商標登録」又は「商標登録出願」を基礎として、その商標の保護を求めるマドリッドプロトコル加盟国を指定して行う国際出願を言います。

関連URL(特許庁HP マドリッドプロトコル加盟国一覧より)
加盟国一覧


個別出願と国際出願の比較

個別出願と国際出願の比較

メリット

1. 一度の手続きで複数国の権利取得が可能である。
2. 権利の維持・管理が容易である。
  国際事務局の国際登録簿による一元管理。
3. 経費の節減が可能である。
4. 迅速な審査が期待できる。
  全ての指定国において、国際登録の通報日より1年又は1年半(拒絶通報期間)で権利取得の可能性に
  ほぼ目途がつく。

デメリット

1. マドプロに加盟していない国で商標登録を受けることはできない。
2. 基礎登録、基礎出願中の存在が必要である。
  マドプロ商標出願をしようとする商標と同一の商標が日本国特許庁で出願(基礎出願)又は登録(基礎登録)
  されている必要がある。指定商品(役務)は基礎登録・出願の範囲でなければならない。
3. セントラルアタックの危険性を考慮する必要がある。
  国際登録日から5年間は基礎出願(又は基礎登録)に従属するので、基礎出願が最終的に拒絶されたり、 基
  礎登録が消滅した場合には、国際登録も取り消される(セントラルアタック)。但し、3ヶ月以内に各指定国
  への国内出願に変更可能であるが、新たに費用発生する。


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3. 欧州連合商標(EUTM(European Union Trade Mark))出願

  EUIPO(欧州連合知的財産庁)に対して、1件の商標登録出願をすることによりEUTM加盟国全体をカバーする商標権を取得することが可能な出願です。

関連URL(EUROPA > The EU at a glance > European countries)
加盟国一覧

メリット

1. 単独の出願で加盟国全てに効力を及ぼす登録を得られる。保護を希望する国を指定する必要はない。
2. 権利の維持・管理が容易である。更新などの手続が一度で済む。
3. 一カ国での使用を以って、不使用取り消しを免れることができる。
4. 費用面で有利である。
  加盟国の多くの国で出願する場合、費用が通常の各国出願より安く済む。

デメリット

1. 拒絶理由を受けた場合、その効力が加盟国全部に及んでしまう。
  この場合、拒絶がなかった国については通常の各国出願に切り換えが可能であるが、その場合費用は嵩む。
2. 一カ国で取り消し、無効が確定した場合、他の加盟国においても権利が消滅してしまう。
3. EUTMだけなく、加盟国の国内商標との抵触を理由とした異議申立を多く受ける可能性がある。
  相対的拒絶理由(先願との類否)の審査がされずに、方式と絶対的拒絶理由の審査だけが行われて
  登録になるので、同一・類似の商標が数多く併存し、異議申し立てをうける危険がある。
4. 複数の異議申立を受けると結局費用が高額になる可能性がある。

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